良くなるカラダ

診察の場では患者さんに伝えにくい事をお話しします 専門家としてのつぶやきに加えて趣味の株式投資と大好きな不動産投資や節税策などについても積極的に発言します

苦い過去の経験



25年以上前の駆け出しの頃、麻酔科修練を受けた際、技術のない執刀医の手術を担当させられ16000cc以上、即ち114単位以上の輸血をした苦い経験が有ります。現場は壮絶で中心静脈ルートに加え両腕に点滴ルートを二箇所追加して自然滴下では間に合わず三方活栓から手押しポンピングし続けました。



その手術は13時間以上に渡りました。血圧は収縮期が30mmHgを切る時もあり上級医から怒鳴られながらトイレにも行かず飲まず食わずで同僚の見習い医とポンピングし続け手はシリンジの形に内出血しました。114単位の赤血球濃厚液だけを入れたのでは有りません。血圧を保つ為に院内の点滴の全てを使い切り血小板輸血、血漿輸血、ヘスパンダー、細胞外液点滴が足りなくなり生理食塩水や5%ブドウ糖液をポンピングしました。足元には空の点滴バッグが何十と転がり手術台の周りの滴った血液で滑りそうになりました。その患者さんは奇跡的に助かり障害も残らず人生を全うされました。



この経験以降、あの下手な執刀医の様な手術はしないと誓い自分の執刀では短時間・無輸血を目指しています。怒鳴りつつ指導してくれた上級医には今も感謝しています。献血をしてくださった方の事を思い以降は可能な限り自身が献血に行く様にしています。



今回の安倍さんへの輸血は14000ccもの量です。当時を思い出しました。