良くなるカラダ

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医学博士や専門医は良医を見抜くツールか?

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皆さんが病院へ診察を受けに行くにあたって、お医者さんがどう言った事が出来るのかを気にされる事と思います。普通は標榜している診療科を見てから受診するかどうか決めておられるのではないでしょうか。その時に担当する先生の肩書きを気になさる事も有ると思います。たとえば、医師名のあとに(眼科専門医・医学博士)と外来診療医の詳細ページに表記されている病院もすくなくありません。医師の肩書きを見てどう考えたら良いのかと言う質問です。



私は今年60歳となった主婦です。パートで働く傍ら67歳の主人の介護を自宅でしております。主人が脳梗塞をきっかけとして歩行が困難となり三駅先にある病院の脳外科に定期通院しています。付き添いが大変で自宅近くに開業した神経内科のクリニックへ移りたいと考えています。そこでお聞きしたいのですが、前の先生は若い先生で申し訳ないですが少し頼りない様に感じて居ました。ホームページを見ても肩書きなどが無く、色々質問したくても正しい答えを教えて貰えるのかが不安でした。肩書きで専門医や博士とある先生が科長の先生には多い様に感じています。そうであれば博士であるのか専門医であるのかを病院を移る際の参考にしたいのですがこれは正しいですか?



担当する先生を決めるにあたり、医師である事に加えて専門医であるのか博士であるのかが参考になるのかと言う質問ですね。では専門医とは何なのでしょう。また医学博士とは何なのでしょうか?専門医とは元々、各診療科が個別に運営している制度でした。例えば眼科専門医ならば眼科学会が、整形外科専門医で有れば日本整形外科学会が各々の専門分野を極めた医師を認定する目的で制度化していました。ところが2018年からは一般社団法人の日本専門医機構が立ち上がり、管轄が機構に移動しました。ただ、機構の設立から3年経過した現在でも手探りしながらの制度譲渡が行われており、各科の専門学会が事実上の専門医の為の認定講習を担い制度自体の運用は新専門医制度として機構が運用するというややこしい事態となっています。

一方の博士号は医師であれば通常は医学博士の事をさします。専門医が診療に関する認定制度である一方で博士号は研究者の称号と思って頂ければ良いかと思います。ですので一般的にはある程度キャリアを積んで一度病院での診療経験が終わった先生が基礎の研究室に配属されるなどして培養細胞や遺伝子操作を学ぶ事になります。大学院は四年制ですので医学部6年間に加えてストレートで大学院を卒業したとしても10年掛かります。しかも、この間はあくまで学生ですので給料も貰えないわけで、特に最近は若い先生からは不人気のコースかもしれません。


さて、自分が受診する先生を選択する基準となるかどうかに関しては極めて専門的な判断を期待するのであれば専門医を選ばれると良いでしょう。一方で医学博士号は臨床とは無縁であり治療の内容決定とは直接の関係は無いと考えても良いかも知れません。昔の言い回しで「果ては博士か大臣か」などと言われ時代とは異なります。博士号も専門医も持っていなくとも世の中には患者思いの立派な先生は沢山いるので実はこれらの肩書きは参考程度におさめておけば良いと考えます。私が本当に良い先生と思うのは相対する患者さんの状態を鑑みてアドバイスしてくれる先生です。診療だけでは無く医療サービスの相談先を伝えてくださるなどですね。ただ多くの医師は診療に忙殺されているかも知れません。良い先生に会えると良いですね。